B型肝炎の給付金は遺族でも受け取れる可能性がある?

B型肝炎ウイルスに感染した家族が死亡。遺族でも給付金を受け取れる?

「CMでB型肝炎の給付金制度を知ったけど、亡くなった父の代わりに娘でも給付金を受け取れるの?」

このページでは、そんな疑問を解決していきます。

結論から言うと、遺族の方でも、要件を満たしていればB型肝炎給付金の受取りが可能です。

今回は、遺族の方が給付金請求をするときに知っておくべき相続人のことや、給付金の金額、訴訟の流れについてわかる内容となっています。

また、遺族の方が不安に思いがちな、「カルテなどの資料がない場合はどうするの?」といったことも解消できますので、ぜひ参考にしてください。

今回の記事でわかること
  • 遺族のうち給付金の支給対象となる方
  • 遺族の方が給付金請求をするのに必要な書類
  • 遺族の方が訴訟を起こして和解するまでの流れ

遺族の方でもB型肝炎の給付金は受け取れる可能性がある

遺族の方でも、B型肝炎給付金を受け取ることはできます。

ここでは、“遺族”とは具体的に誰のことを指すのか、遺族の方が給付金を受け取る場合、いくらになるのかについて見ていきます。

遺族のうち誰が給付金を受け取れる?

B型肝炎給付金の支給対象

遺族の方のうち、給付金を受け取れるのは、相続人の方です。

配偶者は、常に相続人となり(民法第890条)、給付金を請求することができます。

また、被相続人に子や父母などの血縁相続人がいる場合には、相続開始時に生存しているもっとも順位の高い血族相続人も相続人となり、給付金を請求することができます(民法第887条、民法第889条)。

配偶者と相続開始時に生存するもっとも順位の高い血族相続人は、同順位の相続人となり(民法第890条)、双方とも給付金を請求する資格を有します。

たとえば、配偶者と子ども、お父さまが生存している場合。
このとき、配偶者と第1順位の子どもは給付金を請求する資格を有しますが、第2順位のお父さまは請求する資格を有さないことになります。

ただし、家庭裁判所に申述する方法によって相続を放棄した方は、給付金を請求することはできません(民法第938条、民法第939条)。

なお、民法には「包括受贈者は、相続人と同一の権利義務を有する」(民法第990条)という規定があり、遺族でない方であっても、遺言により包括的に遺贈を受けた方は給付金を請求することができます。その場合には、公正証書遺言等の遺言書が必要となります。

亡くなった方の配偶者

亡くなった方の配偶者

配偶者とは、亡くなった方(被相続人)と法律上の婚姻により夫または妻になった方をいいます。
配偶者は常に相続人となり(民法第890条)、B型肝炎の給付金を請求することができます。
もっとも、内縁の妻(夫)や被相続人と離婚した元妻(夫)は、給付金を請求することはできません。

第1順位(亡くなった方の子どもなど)

第1順位(亡くなった方の子どもなど)

第1順位の血族相続人は子ども、子どもが亡くなっている場合は孫(代襲相続人)、孫も亡くなっている場合はひ孫(再代襲相続人)になります(民法第887条)。

子どもが複数人いる場合には、同順位で相続することになります。

また、法律上の親子関係があれば、実子・養子や、婚姻している夫婦から生まれた子どもかそうでないかも問いません(ただし、被相続人が父親の場合には、父親による認知を受けることで親子関係が認定され相続できるようになります)。

子どもまたは代襲相続人という先順位(より順位の高い)相続人がいる場合、後順位の直系尊属や兄弟・姉妹は相続人になりません。

第2順位(亡くなった方の両親など)

第3順位(亡くなった方の兄弟・姉妹など)

第2順位の血族相続人は、父母や祖父母といった直系尊属になります(民法第889条1項1号)。 第2順位の血族相続人は、第1順位の血縁相続人(子どもや孫など)がいない場合に相続人となります。

直系尊属のなかでは親等が近いものが優先します(民法第889条1項1号ただし書)。

つまり、第1順位の血縁相続人がおらず、被相続人の父母が相続の開始時に健在の場合には、父母が相続人となります(どちらか一方のみ健在の場合には、健在している父母が相続人となります)。
そして、被相続人の父母が、相続の開始以前に亡くなっていた場合には、父母の親(祖父母)が相続人になります。

第3順位(亡くなった方の兄弟・姉妹など)

第2順位(亡くなった方の両親など)

第3順位の血族相続人は、被相続人の兄弟・姉妹になります(民法第889条1項2号)。

被相続人の兄弟・姉妹は、第1順位、第2順位の血縁相続人がいない場合に相続人となります。

兄弟・姉妹に関しては、父母双方を共通にする兄弟・姉妹と、父または母の一方のみを共通とする兄弟・姉妹がいますが、どちらも相続人となります。

また、兄弟・姉妹については、1代に限り代襲相続が認められています(民法第889条2項)。

遺族の方が受け取れる給付金の金額

B型肝炎ウイルスの患者さまご本人が、亡くなられた場合、遺族の方が受け取れる給付金の金額は以下のとおりです。

お亡くなりになった患者さまの病態 給付金(20年経過前) 給付金(20年経過後)
・死亡(B型肝炎ウイルスが原因の疾病による)
・肝がん
・肝硬変(重度)
3,600万円 900万円
肝硬変(軽度) 2,500万円 生前に治療を受けていた方等
→600万円
上記以外の方
→300万円
慢性肝炎 1,250万円 生前に治療を受けていた方等
→300万円
上記以外の方
→150万円
無症候性キャリア 600万円 50万円

給付金を受け取ることができるのは、B型肝炎ウイルスに起因する病態の範囲に限られます。

たとえば、患者さまがB型肝炎ウイルスに起因して亡くなった場合、亡くなってからの期間に応じて、3,600万円または900万円の給付金を請求できます。

B型慢性肝炎の方が交通事故で亡くなった場合など、死因がB型肝炎に起因しない場合については、のちほどの「死因がB型肝炎に起因しなくても給付金を受け取れますか?」で詳しく解説しています。

また、表で触れている20年経過とは、以下の日付から数え始めることになります。

無症候性キャリアの方

  • 一次感染者の場合は集団予防接種等を受けた日等
  • 母子感染の場合は出生日等
  • 父子感染の場合は満7歳の誕生日の前日、B型肝炎ウイルスへの感染を確認した日のうち早いほうの日

病気を発症している方

  • 病気を発症した日(肝がん、慢性肝炎の再発時とする場合もある)
  • B型肝炎ウイルスに起因して亡くなられた方については亡くなられた日

遺族の方(相続人)が給付金を受け取るまでの流れ

感染被害者の方ご本人がB型肝炎給付金を請求する場合も、遺族の方が給付金を請求する場合も、給付金を受け取るまでの流れは変わりません。

アディーレに依頼される場合の給付金を受け取るまでの流れは以下のとおりです。

  1. お電話で無料相談のご予約
  2. 弁護士と無料相談
  3. ご契約
  4. 資料収集
  5. 訴訟の提起
  6. 和解の成立
  7. 給付金の受取り(弁護士費用差引後)

遺族の方(相続人)が給付金請求する場合も資料収集が必要

感染被害者の方ご本人の給付金請求をするときはもちろんですが、遺族の方が給付金を請求する場合も資料収集が必要となります。

以下では、どのような資料が必要となるのか、カルテなどの資料が破棄されている場合にはどうなるのかということについて見ていきましょう。

遺族の方(相続人)が給付金を受け取るために必要な資料

被相続人(感染被害者の方)が、集団予防接種等を原因としてB型肝炎ウイルスに持続感染したことを示す資料(通常の給付金請求で必要な資料)に加えて、遺族である請求権者が相続人であることを証明する資料(戸籍)が必要です。

なお、遺族でない方であっても、遺言により包括的に遺贈を受けた方も請求権者となります。その場合には、公正証書遺言等の遺言書が必要な資料となります。

通常の給付金請求で必要な書類については、以下で詳しく解説していますが、被相続人の接種痕意見書(腕に予防接種の痕が残っているかどうか医師に作成してもらう意見書)などは取得ができないため陳述書等で代替します。

カルテなどの資料がすでに破棄されている場合はどうなる?

カルテなどの資料がすでに破棄されていても、和解できる可能性があります。
現存するカルテなどの医療記録が一切ない場合に、死亡診断書等によって和解に至ったケースもあります。

また、死亡診断書以外にも、医療保険金の請求時に提出する診断書等や、遺族の方がお手元で保管していた医師の診断書・血検査結果報告書・その他の検査結果報告書等によって、和解できる可能性もあります。

カルテなどの資料が現存しない場合であっても、和解できるケースがありますので、ご自身の判断で諦めず、弁護士に相談しましょう!

資料が破棄されていたが和解に至った事例

肝硬変により亡くなられたWさん。遺族の方がB型肝炎の給付金請求について詳しく知りたいということで当事務所に相談されました。
弁護士に相談されたときは、あと約3ヵ月でWさんの他界から20年が経過するという状況でした。

そこで、死亡診断書を取得するようご案内し、取得していただいた死亡診断書を弁護士が確認すると、Wさんの肝硬変はB型肝炎ウイルスの感染に起因するものだったと判明。

ご依頼を受けた弁護士の早急な対応により、亡くなってから20年経つ前に提訴することができ、和解後には3,600万円の給付金を受け取ることができました。

弁護士に依頼することで資料集めの負担が減る

遺族の方のなかには、亡くなった方と同居しておらず生前に通院していた医療機関をはっきりと覚えていない方もいらっしゃると思います。

弁護士に依頼すれば、生前の通院先も調査してもらえます。弁護士は、死亡診断書等から亡くなった方が生前通院していた医療機関を特定して必要な医療記録を取得するなど、資料収集をすることが可能です。

また、遺族の方が、亡くなった方の医療記録を取得しようとする際に、医療機関によっては直接窓口に行かなければ医療記録の開示に応じてくれない場合もあります。

このような場合、弁護士であれば弁護士会照会などの方法によって、医療記録の取得をスムーズに行えることがあります。

ただし、すべての弁護士事務所で資料収集のサポートを行っているとは限りません。

アディーレでは、弁護士があなたに代わって資料収集を行います。資料収集の代行について、詳しくは以下のページで解説しています。

遺族の方のB型肝炎給付金を請求する際によくある質問

死因がB型肝炎に起因しなくても給付金を受け取れますか?

死因がB型肝炎ウイルスに起因していない場合でも、亡くなった方が集団予防接種等を原因としてB型肝炎ウイルスに持続感染していた場合には、給付金を受け取ることができます。

ただし、給付金を受け取ることができるのは、B型肝炎ウイルスに起因する病態の範囲に限られます。

たとえば、B型慢性肝炎(除斥未経過)に疾患している方が交通事故で亡くなったケースを考えていきます。
B型肝炎ウイルスに起因して亡くなった場合には、病態を「死亡」(除斥未経過の場合)として3,600万円の給付金を請求することができます。
しかし、交通事故が原因で亡くなった場合には、B型肝炎ウイルスに起因して亡くなったとは言えないため、病態を「死亡」として3,600万円の給付金を請求することはできません。
このケースの場合には、請求できる給付金はB型慢性肝炎(除斥未経過)の範囲となり、1,250万円の給付金を請求できることになります。

相続人の全員が揃ってから依頼しないといけませんか?

相続人全員が揃って請求する必要はありません。

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法には、以下が記されています。

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の支給を受けることのできる同順位の相続人が二人以上あるときは、その一人がした請求は、その全額について全員のためにしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法第3条の3

つまり、相続人のうち1人であっても請求することが可能で、相続人が全員揃う必要はないということです。

相続人全員と連絡を取り、予定を合わせる必要はありませんので、ご安心ください。

B型肝炎訴訟はアディーレにお任せください

B型肝炎訴訟は、ぜひアディーレにお任せください。

先ほどご紹介したように、ご遺族の方のご依頼で給付金を獲得した実績もあり、その分弁護士のノウハウも蓄積されています。

遺族の方が給付金請求をする場合、資料収集が大変になることが多いですが、アディーレの場合、資料収集の代行もしますので、資料集めのハードルがぐっと下がります。

資料収集の代行をしたことにより、難しいと思われた案件を和解に導いたこともありますので、まずはお気軽にお問合せください!

ご相談は何度でも無料です。

給付金の対象だと思うだけどずっと迷っている方へ 給付金の対象だと思うだけどずっと迷っている方へ
準備や手続きが大変そうと心配な方へ 準備や手続きが大変そうと心配な方へ

まとめ

遺族の方の給付金請求について解説してきました。

結論として、遺族の方でも要件を満たせばB型肝炎給付金を請求することができ、和解することで最大3,600万円の給付金を受け取ることができます。

しかし、必要な血液検査や接種痕意見書などの必要な資料が残っていないなど、遺族の方からの給付金請求ならではの書類集めの難しさがあります。

アディーレの弁護士にお任せいただければ、資料収集も代行しますし、必要な資料がない場合も手続の進め方についてノウハウがあります。もちろん、弁護士に依頼すれば裁判のための書類作成など、ご自身の手間が省けることはたくさんあります。

相談は何度でも無料ですので、「給付金の対象か確信はないけど、話だけは聞いてみたい」という方もお気軽にお問合せください!

また、B型肝炎給付金の手続について、相談者ご本人さまにお話をお伺いした体験談をご紹介しております。相談への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

監修者情報

大西 亜希子

弁護士

大西 亜希子

おおにし あきこ

資格
弁護士,行政書士(有資格),肝炎医療コーディネーター※
※地域により名称が異なります。
所属
東京弁護士会
出身大学
香川大学法学部,広島修道大学法科大学院,早稲田大学大学院法学研究科(修士課程)

何の落ち度もない方々が、B型肝炎ウイルスに感染し、その本当の原因もわからずご本人やそのご家族が辛く苦しい思いをされてきました。その方々を救済するためにB型肝炎訴訟の制度ができました。おひとりで悩まず、気になることはどんなことでもお気軽にご相談ください。皆様の心の支えになれるよう、常にご依頼者様の立場になって考え、B型肝炎訴訟のお手続きをさせていただきます。

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