B型肝炎と給付金制度について 一生に一度は肝炎ウイルス検査を

アディーレ法律事務所のB型肝炎部部長弁護士・大西亜希子(以下、大西)が、消化器病専門医・肝臓専門医として、ウイルス性肝疾患の啓発・治療などに尽力されている神山俊典医師(以下、神山)にウイルス性肝炎やその治療・検査についてお話を伺いました。

すべては患者さまのために。肝炎の早期発見とB型肝炎給付金制度の正しい理解を

大西 :対談を引き受けていただきありがとうございます。
今回、この企画に賛同してくださった率直な理由をお伺いしてもよろしいですか?

神山 :ご縁があり大西弁護士と出会い、お話しするなかで、改めてB型・C型肝炎や、B型肝炎給付金のことを考える機会が増えました。
肝臓の病気は症状が出にくく、ご本人が気づきにくいです。
この対談を通して、1人でも多くの方がきちんと肝炎検査を受けてくださるきっかけになるとうれしいですね。
そして私自身、「もう少し給付金制度のことに関わっていくほうがいいのかな?」と考えるようになったことも、今回の対談企画に参加した理由の1つです。
正直なところ、以前は私も給付金制度に積極的に介入していなかったんです。検査に来られた患者さまに必要な書類の記入を求められたら、それに応じる程度でした。
でも、大西弁護士に聞いた話だと、40万人ぐらい給付金の対象者の方がいらっしゃるのに、給付金請求している方はまだ10万人にも満たないみたいで。

給付金制度が始まってから10年が経ちますが、まだ制度の対象となる方の4分の3以上が制度すらご存じない可能性がある
だから、私も少し介入して、幼少期のワクチン接種等が原因でB型肝炎ウイルスに感染された方に、制度を知ってもらう一助になればと思いました。

大西 :この対談企画がきっかけで、給付金制度のことについて患者さまとお話ししていただいたそうですね。

神山 :テレビなどで宣伝していることもあって、給付金制度があること自体はご存じのようでした。

ただ、給付金制度があると知っていても、「おそらく私は対象ではないであろう」と思い込まれている方や、「具体的に何をすればいいのかわからない…」と感じて、気にされていてもそのまま時間が過ぎてしまっていたという方ばかりでした。

大西 :給付金制度について知っている方が多いのですね。医師の間では、給付金制度の認知度はどの程度なのでしょうか。

神山 :給付金制度があること自体は知っている医師は多いと思います。
ただ、実際に何をすればいいのかをしっかり理解している方は少ないんじゃないですかね。頼まれれば医療関連の書類作成はしますが、給付金の手続に必要な資料集めなどのアドバイスなんかは難しいと思います。

前に別の病院の医師と「まだまだB型肝炎給付金を請求する訴訟を起こしている方は少ないみたいですね」というような話をしたんです。
そうすると、訴訟に関わるのは抵抗があると言われたんです。
たしかに医師のなかには、訴訟など法律の領域に積極的に介入していくことに抵抗を感じる方も一定数いらっしゃると思います。
それでも、検査結果から給付金を受け取れそうなことがわかる方に対しては、積極的に声をかけてもいいと思うんですよね。きっと患者さまにとってプラスになるでしょうから。

大西 :そうですよね。患者さまのためになりますよね。

症状がないからといって放置は危険。沈黙の臓器「肝臓」

大西 :ここからは、B型肝炎の病気のことについてお伺いしたいのですが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていますよね。となれば、体調の異変は感じていないけど、健康診断などで肝機能の数値に異常が見られて、「とりあえず詳しい検査をしてみよう」という方が多いのですか?

神山 :大西弁護士のおっしゃるとおり、肝臓は本当に症状が出にくいんですよ。
だから健康診断の結果から、改めてうちの病院で検査した結果、B型肝炎やC型肝炎のウイルスに感染しているということが発覚するケースも少なくありません。
慢性肝炎であっても、ほとんど自覚症状がないんですよ。

ですから、日常生活のなかで身体に異変を感じて、病院を訪れる方は、かなり症状が進行していることが多いです。
すでに肝硬変とか肝がんになっているケースですね。

大西 :慢性肝炎でも体の異変には気づかないのですね。それならなおさら自覚症状の有無にかかわらず肝炎ウイルスの検査を受けたほうがよいということでしょうか。

神山 :そうですね。ただ、健康診断だとAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの検査をやると思いますが、脂肪肝やお酒で肝臓が弱っていることがわかる場合が多く、ウイルス性肝炎は気づきにくいと思います。
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの数値が正常でも、B型肝炎キャリアのことは十分にあり得るので。

やはり、HBs抗原や、HCV抗体の検査をやらないとウイルス性肝炎かどうかはわからないんです。
それに、健康診断によっては、B型肝炎は調べるけど、C型肝炎は調べないということもありますよね。

ですから、健康診断だけではなく、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの両方を検査してほしいです。一生に一度でいいので。もちろん例外はありますが。

大西 :そういえば、神山医師は医師の皆さまに対してもB型肝炎についての知識を広めるような活動を行っていたそうですね?

神山 :はい。B型肝炎の場合、肝機能には問題が起きていない無症候性キャリアの方が多いんですよ。
逆に、C型肝炎だと無症候性キャリアという考え方はなく、徐々に進行する場合が多いんです。
C型慢性肝炎やC型肝硬変など症状が現れる場合もあります。そして徐々に病態が進んでいき、最終的に肝がんになるパターンがあります。

ただ、B型肝炎の場合は違います。
肝機能に問題のない方が、久しぶりに病院を訪れて「お腹が張っている」と言うので、詳しい検査をしてみると、肝臓がんが発覚するようなこともあるんです。

なので、肝臓専門医はもちろん、そうでない医師にもその事実を知ったうえで、「無症候性キャリアであっても定期的な検査を受けるように患者さまに呼び掛けてほしい」という注意喚起をするような。

大西 :素晴らしいですね。私も無症候性キャリアの方とお話することが多いのですが、何か(症状の変化が)あってからまた考えると言われることが多いんですよね。

神山 :症状が出てから考えるという患者さまは多いですよね。
しかし先ほども触れたように、B型肝炎は症状が出てからだとかなり病態が進んでいるケースも多いですから。
症状が出ていなかったとしてもそういう方々にはぜひ定期的な検診を受けていただきたいですね。
放置していても、B型肝炎は完治しない場合が多いと考えられます。

B型肝炎は完治が難しい。だからこそ定期的な検査で発症や進行を防ぐことが大切

大西 :やはりB型肝炎は完治しない病気なのでしょうか。

神山 :かつては、HBe抗原が消えて、HBe抗体が陽性になればそれを完治と言っていたんです。
ただ、ウイルスは肝臓の細胞内にいますから、免疫が低下した状態になると、また症状が出ることがあります。
それがB型肝炎のおそろしいところです。

大西 :なるほど。やはり完治は難しいからこそ医師に診てもらって、アドバイスをもらうことが大切ですね。
先ほど、無症候性キャリアからいきなり肝がんになるケースもあるとおっしゃっていましたが、逆に無症候性キャリアから慢性肝炎、肝硬変、肝がんというふうに、少しずつ症状がひどくなっていくという患者さまもいらっしゃいますか?

神山 :いらっしゃいますね。
まず、小さいころにB型肝炎ウイルスに感染すると、かなりの方が、持続感染した状態になります(キャリア化)。
体内の働きによって勝手に軽い炎症を起こして、体のなかのウイルスを追い出す場合があります。
これが、HBs抗原が陰性、HBs抗体が陽性で、HBc抗体が低力価陽性のパターンです。
多くの方はHBs抗原が陽性、HBs抗体が陰性で、HBc抗体が高力価陽性のパターンで、キャリア化します。
大半はそのままですが、10%から15%の方は進展・増悪し、慢性肝炎から肝硬変や肝がんのように徐々に病態が悪化していく場合や、無症候性キャリアから急に悪化する場合があります。
だからこそ、医師の方々にはB型肝炎の「無症候性キャリア」における定期検査の重要性をきちんとお伝えいただきたいですし、無症候性キャリアの方には症状が出ていないとしても定期的な検査を受けていただきたいです

そのためにも、多くの方にB型肝炎について知っていただくことが大切だと思います。

最後に

神山医師からのお話にもあったように、免疫機能が未成熟な幼少期にB型肝炎ウイルスに感染された場合、ほとんどの方がウイルスを体内に保有した状態(持続感染)になります。

B型肝炎ウイルスに感染された場合には、抗原が陰性化して抗体ができても、検査で検出されないごくわずかなウイルスは肝臓に残ると言われていので、抗原が陰性化したあとでもB型肝炎に気をつけていく必要があります。

そのため、慢性肝炎や肝がんなどを発症してしまった方は治療費がかかり、無症候性キャリアの方も病状の変化にいち早く気づくための定期的な検査に費用がかかります。

対談の中でも少し触れましたが、幼少期に受けた集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスへの持続感染である場合、「B型肝炎給付金」の受給対象である可能性があります。

長期にわたる治療や検査は、経済的な負担が大きいですが、B型肝炎給付金を受け取ることで、経済的、精神的にも安心でき、治療費や検査費用などの不安要素を払拭することができます。

ご自身もしくはご家族のお身体に関わる大切なことなので、ぜひご相談いただければと思います。この対談でのお話が、1人でも多くの方が大切な一歩を踏み出していただく一助になれば幸いです。

プロフィール

神山 俊典(かみやま としのり)

国立島根医科大学(現国立大学法人 島根大学医学部)を1985年に卒業し、同年東京医科歯科大学第二内科に入局。その後、東京医科歯科大学付属病院や武蔵野赤十字病院内科などに勤務し、1997年に東京医科歯科大学で医学博士を取得。2006年10月にかみやま内科クリニックを開業。2021年より、東京医科歯科大学医学部臨床教授。
専門は消化器病学で特に肝臓病学。

大西 亜希子(おおにし あきこ)

香川大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科(修士課程)および広島修道大学法科大学院卒。2012年に弁護士登録。広島の法律事務所にて経験を積み、その後2014年にアディーレ法律事務所に入所。民事や刑事などさまざまな業務を経て、2015年よりB型肝炎訴訟の業務に携わる。現在はアディーレ法律事務所B型肝炎部部長弁護士として、被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、B型肝炎訴訟や給付金制度の認知向上、お客さまのサポートに日々尽力している。東京弁護士会所属。高齢者・障害者の権利に関する特別委員会(福祉制度部会)所属。

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