B型肝炎ウイルスの検査と診断

B型肝炎と血液検査(ウイルス検査)

B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しているか否かは血液を採取して検査します。ウイルスに感染すると、血液中にウイルスが認められ、さらに免疫機能がウイルスを排除しようとして、血液中に抗体ができます。これらをウイルスマーカーと呼びます。

ウイルスマーカーを検査することによって、B型肝炎ウイルスに現在感染しているのか、または、過去に感染したことがあるのかを診断し、感染したウイルスの量・感染力などを測定します。さらに、感染経路の推定や治療法の選択のためにウイルスの遺伝子型(ジェノタイプ)も調べます。

B型肝炎ウイルスの場合、HBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、IgМーHBc抗体、HBV-DNAなどがウイルスマーカーとなります。

持続感染を示すために必要な血液検査

B型肝炎給付金の受給要件のひとつとして「B型肝炎ウイルスに持続感染していること」という項目がありますが、これは、血液検査の結果が以下の(1)または(2)のいずれかの場合であることが要件とされています。

  • (1)6ヵ月以上の間隔をあけた連続した2時点における、
    • HBs抗原陽性
    • HBV-DNA陽性
    • HBe抗原陽性
  • (2)HBc抗体陽性(高力価)

そのほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、B型肝炎ウイルスの持続感染が認められる場合があります。

HBs抗原

HBs抗原が陽性(+)であれば、現在HBVに感染していることを意味しています。この点、HBs抗原が陰性(-)であったとしても、HBc抗体が陽性(+)の場合、HBVへの感染と診断されますので、注意が必要です。

HBs抗体

HBs抗体が陽性(+)ならば、過去にHBVに感染して免疫を獲得していることを意味します。つまり、B型肝炎を発症して治癒したり、あるいは、B型肝炎ワクチンを接種したりした人はHBs抗体が陽性(+)となります。この状態では、もし、HBVが体内に入ってきたとしてもウイルスは排除されますので、原則として肝炎を発症することはありません。

HBe抗原

HBe抗原が陽性(+)であれば、血液中のHBV量が多く、HBVの増殖力や他人への感染力が高いことを意味しています。

HBe抗体

HBe抗体が陽性(+)であれば、血液中のHBV量が少なく、HBVの増殖力や他人への感染力が低いことを意味しています。

HBc抗体

HBc抗体が陽性(+)であれば、HBVに現在感染している、または、過去に感染したことを意味します。

検査方法等によっては、その感染が持続感染であったかどうかを確認することができます。原則として、HBc抗体が陰性であればB型肝炎ウイルスに感染したことがないことを意味し、HBc抗体が陽性であれば、B型肝炎ウイルスに感染したことがあるということを意味します。さらに、陽性の中でも、高力価陽性であればその感染が持続感染だったことを意味します。ただし、HBc抗体が低力価陽性であることは、持続感染したことがないことを意味するわけではなく、感染したことはあるがその感染が一過性感染だったのか持続感染だったのかわからないという意味であることに注意してください。

IgM-HBc抗体

HBc抗原に対する抗体の一種であり、HBVへの感染後、3~6ヵ月程度で消失します。そのため、IgM-HBc抗体が陽性(+)の場合、HBVに最近感染したことを意味することが多いです。ただし、B型慢性肝炎の急性増悪の場合もこの抗体が陽性を示す場合があります。どちらにあたるかは、急性B型肝炎の初期感染時期では高力価を示し、B型慢性肝炎の増悪期や、持続感染者の急性肝炎発症時には低力価を示すことで区別できます。

HBV-DNA

B型肝炎ウイルス(HBV)はウイルスの遺伝子で、このHBV-DNA量を測定することで血液中のウイルス量がわかります。直接的には、ウイルスの活動性の評価や治療効果の測定に使われますが、病態の把握や予後の推定、治療法に適応する可能性を検討する際に不可欠な測定でもあります。値が高ければウイルス量が多いことを意味し、肝硬変への進展率や肝がんの発生率は高くなります。逆に、値が低ければウイルス量が少ないことを意味し、肝炎が起きにくかったり、鎮静化する方向性に向かいます。

B型肝炎ウイルスとジェノタイプ

肝臓の炎症性疾患を引き起こす肝炎ウイルスには、主にA~E型などがあります。このうち、B型肝炎の原因となるウイルスをB型肝炎ウイルスと呼び、HBV(Hepatitis B Virus)という略称で呼ばれています。食べ物や飲み水などで経口感染するA型肝炎ウイルスやE型肝炎ウイルスなどとは異なり、B型肝炎ウイルスの感染経路は、血液や体液などの非経口感染となっています。

肝炎ウイルスは、DNAのみ持っているもの、RNAのみ持っているもののいずれかで、B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルス(HCV)とは異なり、DNAのみで構成されており、3200個の塩基(DNAの構成単位)から成り立っています。動物に感染するDNAウイルスとしては、もっとも小さいものです。B型肝炎ウイルスの潜伏期間は、急性B型肝炎の場合、感染してから1~6ヵ月程度です。潜伏期間を経ると、全身の倦怠感、食欲不振、悪心、吐き気、発熱、褐色尿、黄疸などの症状が現れます。

B型肝炎ウイルスは、遺伝子レベルでの分類がされており、これまでA型からJ型までの遺伝子型が確認されています。この遺伝子型のことをジェノタイプと呼びます。

「A型」や「C型」といっても、A型肝炎を引き起こすA型肝炎ウイルスやC型肝炎を引き起こすC型肝炎ウイルスのことではありませんので、注意してください。

ところで、ジェノタイプには地域特性や慢性化率などに違いがあり、日本ではジェノタイプBとCがほとんどを占めています。ほかにも、欧米に多いA型や、エジプトやトルコに多いD型、アフリカに多いE型などがあります。昨今、感染経路の複雑化により、ジェノタイプA型のHBVが海外から日本に持ち込まれており、ジェノタイプA型のHBVによる急性肝炎は、慢性化しやすいことから注意が必要となっています。

B型肝炎の給付金制度では、出生時(母子感染)や、乳幼児期の集団予防接種等によりHBVに持続感染した方を受給対象としており、成人後の感染による持続感染者を除外しています。そのため、平成8年以降にB型肝炎ウイルスの感染が判明した方については、ジェノタイプがAe型(A型の一種)ではないことを証明する検査結果が必要となります。これは、ジェノタイプAe型が平成8年以降に日本で感染例が確認されており、成人後の感染であっても10%前後の方が持続感染化するからです。

HBV分子系統解析検査(塩基配列比較検査)

B型肝炎の給付金請求に際して、B型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した検査結果(HBV分子系統解析結果)が必要な場合があります。

  1. 一次感染者の場合

    父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合、父親からの感染でないことを証明するための資料として、父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

  2. 二次感染者(母子感染)の場合

    母子感染の場合、一次感染者である母親からの感染であることを証明するための資料として、母親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

  3. 二次感染者(父子感染)の場合

    父子感染の場合、一次感染者である父親からの感染であることを証明するための資料として、父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

  4. 三次感染者の場合

    三次感染者の場合、一次感染者である祖母からの感染であることを証明するための資料として、祖母と二次感染者である母親または父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果、さらに、二次感染者である母親または父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較したHBV分子系統解析結果が必要となる場合があります。

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