B型肝炎の基礎知識
B型肝炎について
B型肝炎とは
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって発症する「ウイルス性肝炎」の一種です。肝炎になると、肝臓の働きが悪くなります。
しかし肝臓は、自覚症状が現れにくい「沈黙の臓器」です。そのため、知らないうちに重症化して慢性肝炎・肝硬変・肝がんへと病態が進行してしまうおそれもあります。
B型肝炎の感染経路
B型肝炎ウイルス(HBV)は、血液や体液が傷口のある皮膚や粘膜を介して感染します。
具体的な感染経路は、集団予防接種等における注射器の使い回し、母子感染、性行為、輸血、針刺し事故、刺青や覚せい剤注射の針の再使用などです。
B型肝炎訴訟について
B型肝炎訴訟とは
B型肝炎訴訟とは、幼少期に受けた集団予防接種等(予防接種またはツベルクリン反応検査)が原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方々が、国に対し損害賠償を求める訴訟です。
B型肝炎訴訟の歩みと給付金制度
1989年、集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した5名の方が国に賠償を求め訴訟を提起しました。17年にもおよぶ裁判の結果、最高裁判所は国の責任を認め、国に賠償を命じました。
その後、より多くの感染被害者の方たちを救済するため時限付きで設けられたのが、B型肝炎の給付金制度です。
B型肝炎の給付金について
B型肝炎給付金の金額一覧
B型肝炎給付金の金額は、病態や発症・感染後の経過年数ごとにあらかじめ定められています。
最大3,600万円を受け取れるほか、定期検査費用などの支給や弁護士費用の補助もあります。
B型肝炎給付金の対象者
B型肝炎給付金の受給対象となるのは、集団予防接種等における注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに持続感染した方(一次感染者)です。
そのほか、二次感染者、三次感染者、これらの相続人の方も対象となります。
B型肝炎給付金の請求に必要な書類
給付金を請求するためには、B型肝炎ウイルスに持続感染していることや病態などを証明する書類を集める必要があります。
B型肝炎給付金を受け取るまでの流れ
弁護士への無料相談・ご依頼のあとは、弁護士が国との和解を前提に訴訟を提起します。和解が成立すると、病態に応じた給付金などをお受け取りいただけます。
B型肝炎の追加給付金
B型肝炎給付金を受け取ったあとに病態が悪化してしまった場合、病態の進行応じ追加給付金を請求できます。
最初に給付金を請求する際には訴訟手続に時間がかかりますが、追加給付金の請求では資料収集の負担も少なく、訴訟も必要ありません。そのため、早ければ数ヵ月で追加給付金を受け取ることが可能です。
B型肝炎の検査について
B型肝炎の検査と診断
B型肝炎ウイルスへの感染は、血液検査で調べます。
HBs抗原、HBe抗原、HBc抗体、HBV-DNAなどのウイルスマーカーを検査するほか、ジェノタイプ検査やHBV分子系統解析検査が必要な場合もあります。
肝機能検査で確認する数値と検査手法
肝機能の異常を判別する血液検査では、ALT(GPT)やγGTP、血清アルブミンといったマーカーの数値を確認します。
血液検査のほかにも、肝障害の程度や肝障害の原因を判断するために、肝生検や画像による精密検査を行うこともあります。
B型肝炎の検査を受けられる場所
B型肝炎の検査は、全国のほとんどの医療機関で受けることができます。
B型肝炎の病態と治療について
感染後の経過と病態
感染後、B型肝炎ウイルスが肝細胞内で増殖して活動すると、肝臓からウイルスを排除しようとする免疫反応が起こります。
そして、免疫反応がウイルスと一緒に肝細胞を破壊することで炎症が起き、肝炎を発症します。
肝炎が慢性肝炎に移行し、長期化すると肝硬変や肝がんへと進行するおそれもあるため、適切な治療を受けることが大切です。
B型慢性肝炎の治療方針
B型慢性肝炎において、肝細胞内のウイルスを完全に除去する治療法はいまだに確立されていません。
そのため、薬などによりウイルスの増殖を継続的に抑制することで肝炎の鎮静化や肝臓の線維化の改善をし、肝硬変や肝がんの発生を予防することも治療目的とされています。