【B型肝炎】肝がん(肝臓がん)は給付金の対象?要件・金額・請求方法
公開日:
B型肝炎給付金の請求期限は
2027年3月31日です

監修 丹野 卓真 弁護士

B型肝炎ウイルスと肝がん(肝臓がん)
肝がん(肝臓がん)とは、肝臓にできる悪性腫瘍の総称です。
B型肝炎ウイルスに持続感染した場合、肝がんを発症するリスクがあります。
肝がんの原因
肝がんの原因には、以下のようにさまざまなものがあります。
- B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスへの持続感染
- お酒の飲みすぎによるアルコール性肝障害
- 肥満や糖尿病などの代謝異常を背景とする代謝異常関連脂肪肝炎(MASH/旧称:非アルコール性脂肪肝炎・NASH) など
これまで日本における肝がんの多くは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスへの持続感染によるウイルス性の肝がんであるとされていました。
しかし、近年は代謝異常関連脂肪肝炎(MASH)に起因する非ウイルス性の肝がんも増えているとされています。
肝がんの種類
肝がんは、大きく分けて「原発性肝がん」と「転移性肝がん」の2種類があります。
「原発性肝がん」は、肝臓から発生するがんです。
原発性肝がんには、肝臓の細胞ががん化した「肝細胞がん」と、肝臓のなかを通る胆管ががん化した「肝内胆管がん(胆管細胞がん)」があります。
「転移性肝がん」は、ほかの臓器で発生したがんが肝臓に転移したがんです。
| 種類 | がんが発生した場所 |
|---|---|
| 原発性肝がん | 肝臓(肝細胞、胆管細胞) |
| 転移性肝がん | 胃・大腸・膵臓などほかの臓器 |
なお、B型肝炎ウイルスへの持続感染に起因する肝がんは、「原発性肝がん」にあたります。
肝がんの症状
肝がんには特有の症状がなく、自覚症状がないことも少なくありません。
ただし、すでに慢性肝炎や肝硬変を伴っているケースでは、肝機能の低下により、食欲不振、むくみ、倦怠感(けんたいかん)などの症状が現れることがあります。
また、肝がんが進行すると、腹部にしこりや痛み、圧迫感などの症状が現れることがあるとされています。
参考:
B型肝炎が原因の肝がんは給付金の対象となる可能性がある
肝がんのうち、B型肝炎ウイルスへの持続感染に起因する原発性肝がんは、「B型肝炎の給付金」の対象となる可能性があります。
B型肝炎の給付金とは?
B型肝炎の給付金(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等)とは、『特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(特措法)』に基づき、過去の集団予防接種等における注射器の連続使用が原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方に支払われるお金です。
感染被害にあわれた方々を救済するため、国が「損害賠償」として支払います。
B型肝炎給付金の受給要件
B型肝炎の給付金を請求するためには、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
| 受給対象者 | 受給要件 |
|---|---|
| 一次感染者 |
|
| 二次感染者 (母子感染者) |
|
| 二次感染者 (父子感染者) |
|
| 三次感染者 |
|
B型肝炎の給付金を請求する流れ
B型肝炎給付金の請求手続は、大まかに以下の流れで行います
なお、「裁判」と聞くと大ごとに感じるかもしれませんが、あくまでも「給付金の支給要件を満たしていることを認めてもらう」ための手続です。
給付金を受け取ることは、感染被害者の方に認められている正当な権利ですので、ご安心ください。
B型肝炎給付金の金額
B型肝炎の給付金の金額は、病態や発症後・感染後の経過年数に応じて50万円~3,600万円の範囲であらかじめ定められています。
そのため、給付金の請求手続においては、正確な病態を認めてもらうことが重要です。
なお、給付金はこれまでの病態のなかでもっとも重いもので請求できます。
たとえば、一度肝がんを発症したあと治療によってがんが消失した場合、現在は病態が落ち着いていても過去に肝がんを発症した事実を証明できれば、「肝がん」で請求をすることが可能です。
肝がんで和解した場合のB型肝炎給付金の金額
肝がんを発症した方の給付金額は、発症後の経過年数に応じて、下記のとおり定められています。
| 発症後 | 給付額 |
|---|---|
| 20年が経過していない方 | 3,600万円 |
| 20年が経過している方 | 900万円 |
このように、発症から20年以内に訴訟を提起し和解が成立した場合は3,600万円が支払われ、20年を過ぎている場合は900万円に減額されます。
この「20年」の期間を、「除斥期間(じょせききかん)」と呼びます。
除斥期間とは
除斥期間とは、改正前の民法で定められていた「一定期間権利を使わないと、損害賠償を請求する権利自体が消えてしまう」という法律上の仕組みです。
そのため、本来であれば20年の経過により損害賠償を請求する権利自体が消滅します。
しかし、B型肝炎給付金の制度では、被害者救済の観点から、権利が消滅したあとも減額した給付金が支給される扱いとなっています。
除斥期間の起算点(カウントを始める日)
肝がんの場合、除斥期間は「肝がんを発症した日」から数えるのが原則です。
慢性肝炎や肝硬変から肝がんに進行した場合でも、あくまで「肝がんを発症した日」が起算点(20年のカウントを始める日)になります。
なお、一度治った肝がんが再発した場合、除斥期間の起算点は「最初の発症日」ではなく、「新たにがんが発生した時点」になることがあります。
そのため、個別の事情によっては、最初の発症から20年以上経っていても、3,600万円の給付金を受け取れる可能性があります。
肝がんで和解するために必要な証明
給付金の請求手続において、肝がんで和解するためには、以下の3つを立証する資料を提出する必要があります。
①受給要件に当てはまること
まずは、「B型肝炎給付金の対象者となる要件」に当てはまることを証明する資料が必要です。
たとえば、一次感染者の方であれば、以下のような資料が必要になります。
- B型肝炎ウイルスに持続感染していることを示す血液検査結果
- 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたことがわかる資料
- 母子感染ではないことを示す資料
- 集団予防接種等以外の感染原因がないことを示す資料 など
詳しくは、以下のページをご覧ください。
②原発性肝がんを発症したこと
次に、「原発性肝がん」を発症したことを証明するために、以下のいずれかの資料が必要です。
- 「原発性肝がん」と診断された病理組織検査結果
- 総合的に「原発性肝がん」と認められる資料一式
(医師の診断書+診断を裏付ける診療録+画像検査報告書+血液検査報告書等)
③肝がんがB型肝炎ウイルスへの持続感染に起因すること
最後に、「原発性肝がん」がB型肝炎ウイルスへの持続感染によって生じたものであることの証明が必要です。
この因果関係は、「②原発性肝がんを発症したこと」を証明する資料から、以下のような事実を確認し判断されます。
- HBV-DNA量、肝炎ウイルスマーカーなどの検査結果
- B型肝炎ウイルスの特異的な治療の有無、ほかの原因の有無、治療経過などを踏まえた医師の診断
資料の適切な判断・収集は難しい場合も多い
このように、給付金を受け取るにはさまざまな資料が必要になります。証拠資料の収集は、適切な金額の給付金を受け取るためにもとても重要です。
しかし、資料収集には専門的な知識が必要なうえ、想像以上の時間や労力がかかります。ご自身で正確に必要な資料を判断し、漏れなく資料を収集することは難しい場合も多いです。
たとえば、以下のような壁にぶつかるケースも少なくありません。
- 古い医療記録(カルテ、検査結果など)が破棄されてしまっている
- 複数の病院を受診・転院しており、どこからどの資料を取り寄せればいいかわからない など
資料が不十分なまま請求をしてしまうと、本来受け取れるはずの金額が認められなかったり、手続に必要以上に時間がかかってしまったりするリスクもあります。
B型肝炎の給付金請求は弁護士への相談がおすすめ
B型肝炎の給付金請求をお考えであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
肝がんで和解するために必要な資料を判断してもらえる
弁護士であれば、ご事情に応じて必要な資料を精査・判断できます。
本来の病態に見合った証拠を漏れなく提出することで、スムーズに手続を進めやすくなるでしょう。
資料の収集や請求手続を任せられる
弁護士であれば、医療記録や戸籍などの収集を代わりに行えます(※)。
また、訴状の作成から裁判所とのやり取り、出廷などの対応も任せられるため、安心です。
原則として、ご本人が裁判所へ足を運ぶ必要もないため、精神的・時間的な負担を大きく軽減できるでしょう。
※一部の資料はご自身で集めていただく必要がありますが、その場合も弁護士が丁寧にアドバイスいたしますのでご安心ください。
入院中・通院中の方も治療に専念しながら手続できる
肝がんの治療には、手術や抗がん剤治療など、身体的にも精神的にも大きな負担が伴います。
給付金の請求手続をご自身で行う場合、体調が優れないなかで複数の医療機関や役所を回って古い記録を探したり、複雑な書類を作成したりしなければなりません。
しかし、弁護士に依頼すれば、煩雑な手続の大半を代わりに行ってもらえるため、安心して治療に専念しやすくなります。
肝がんで和解しB型肝炎の給付金を受け取れた事例
Aさん(60代・男性)
- 和解金
- 3,600万円
- ご相談時の症状
- 肝がん
- 発症からの期間
- 20年未満
肝がんを発症していることが判明し、B型肝炎の給付金を請求できないかと、当事務所へご相談くださったAさん。
弁護士は、ご事情を詳細に伺ったうえで、より効率的な収集方法を検討しました。その後、当事務所が資料収集を代行し証拠を提出。比較的少ない資料で要件を証明できたため、証拠の提出から約8ヵ月で和解案が提示され、給付金3,600万円を受け取ることができました。
※事例の内容はご相談当時の状況や条件等によります。
肝がんとB型肝炎給付金に関するよくある質問
肝がんが治癒し現在は症状がない場合も、給付金を請求できますか?
現在は症状がない場合も、受給要件を満たし、過去に肝がんを発症した事実を証明できれば、肝がんとしての金額で給付金を請求できます。
肝がんである本人が入院中の場合、家族が相談や手続をすることはできますか?
アディーレ法律事務所では、ご家族の方からのご相談も承っております。
なお、ご契約はご本人と行うことになります。
ただし、ご本人によるご依頼後の連絡や資料の提出が難しい場合には、ご家族の方を窓口として進めることも可能です。
そのほか、ご本人の意思確認が難しい場合には成年後見制度の利用などもご案内できますので、詳しくはお問合せください。
B型肝炎に起因する肝がんで家族が亡くなった場合、遺族が給付金を請求できますか?
B型肝炎ウイルスへの持続感染に起因する肝がんでご家族が亡くなった場合、ご遺族(相続人)の方が代わりに給付金を請求できます。
死亡された場合の給付金額は、3,600万円(死亡から20年経過している場合は900万円)です。
まとめ
集団予防接種等が原因でB型肝炎ウイルスに持続感染し肝がんを発症された方は、受給要件を満たせば給付金制度の対象となる可能性があります。
肝がんで和解した場合、発症から20年以内であれば3,600万円、20年以上経過していても900万円を受け取れる可能性があるため、まずはご自身が受給対象となるか確認してみることをおすすめします。
ただし、肝がんで和解するためには、受給要件を満たすことに加え、病態を証明するさまざまな資料を集めなければなりません。
ご自身だけで過不足なく資料を収集し、スムーズに手続を進めるのは難しい場合も少なくありません。特に治療中の方にとっては負担も大きくなりがちです。
そのため、B型肝炎の給付金請求をお考えであれば、弁護士へご相談されることをおすすめします。
アディーレ法律事務所なら、B型肝炎の給付金請求に関するご相談は何度でも無料です。少しでも心当たりがあれば、まずはお気軽にご相談ください。





