B型肝炎の給付金請求・訴訟に関する用語集 は行

は行の用語

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非代償性肝硬変 [ひだいしょうせいかんこうへん]

肝硬変は、症状によって非代償性肝硬変(非代償期)と代償性肝硬変(代償期)の2つに分類されます。

「非代償性肝硬変(非代償期)」とは、病態が進行して大量の細胞が破壊されたために、予備能力の限界を超えて肝機能が悪化し、身体に必要な働きが失われた状態のことをさします。この段階になると、黄疸、浮腫(むくみ)や腹水をはじめとしたさまざまな症状や合併症が起きてきます。

これに対し、破壊された細胞の分まで正常な細胞が機能し、肝臓の働きがある程度保たれた状態のことを「代償性肝硬変(代償期)」といい、生活習慣の改善などは必要となるものの、日常生活への影響はあまりありません。線維化が進んだ肝臓はなかなか元に戻りませんので、治療の際は代償期を維持することが目標となります。

B型肝炎 [びぃーがたかんえん]

B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって発症するウイルス性肝炎の一種です。HBVを体内に持っている方(HBVキャリア)の血液や体液に接触することによって感染します。感染経路としては、垂直感染といわれる母子感染水平感染といわれる性行為感染、輸血感染、針刺し事故、刺青での針の再使用、覚せい剤注射の回し打ちなどがあります。

日本においては、戦後まもなくから昭和63年頃までに行われた集団予防接種等における注射針や注射筒の使い回しにより、B型肝炎が蔓延しました。国内でのHBVキャリアは150万人程度といわれており、そのうち集団予防接種等による感染被害を受けた方は40数万人(国の推計)となっています。この感染被害者の方たちの救済のため、時限付きで設けられたのがB型肝炎の給付金制度です。

HBVに持続感染した人のうち、ほとんどの方は自覚症状がほとんどない「無症候性キャリア」となりますが、約10~20%の人は慢性肝炎へ移行します。さらに、B型慢性肝炎は長期化すると、肝硬変肝がんへと病態が進行してしまう危険性がありますので、定期検査をおすすめします。

B型肝炎ウイルス [びぃーがたかんえんういるす]

肝臓の炎症性疾患を引き起こす肝炎ウイルスには、主にA~Eまで5種類あります。このうち、B型肝炎ウイルスは、B型肝炎の原因となるウイルスであり、HBV(Hepatitis B Virus)という略称で呼ばれます。食べ物や飲み水などで経口感染するA型肝炎ウイルスやE型肝炎ウイルスなどとは異なり、B型肝炎ウイルスの感染経路は、血液や体液などの非経口感染となっています。

B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルスとは異なり、DNAのみで構成されており、3200個の塩基(DNAの構成単位)から成り立っています。動物に感染するDNAウイルスとしては、もっとも小さいものです。

HBVは遺伝子レベルでの分類がされており、これまでA型からH型までの8つの遺伝子型(ジェノタイプ)が確認されています。ジェノタイプは地域特性や慢性化率などに違いがあり、日本ではジェノタイプCとBがほとんどを占めています。ほかにも、欧米に多いA型や、エジプトやトルコに多いD型などがあります。昨今、感染経路の複雑化により、ジェノタイプA型のHBVが海外から日本に持ち込まれており、ジェノタイプA型のHBVによる急性肝炎は、慢性化しやすいことから注意が必要となっています。

なお、B型肝炎の給付金制度では、出生時(母子感染)や、乳幼児期の集団予防接種等によりHBVに持続感染した方を受給対象としており、成人後の感染による持続感染者を除外しています。そのため、平成8年以降にB型肝炎ウイルスの感染が判明した方については、ジェノタイプがAe型(A型の一種)ではないことを証明する検査結果が必要となります。これは、ジェノタイプAe型が平成8年以降に日本で感染例が確認されており、成人後の感染であっても10%前後の方が持続感染化するからです。

B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書 [びーがたかんえんういるすじぞくかんせんしゃのびょうたいにかかるしんだんしょ]

B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書は、給付金受給のために必要な書類のひとつです。手続上の必須書類とはされていませんが、下記の指定された医療機関にて作成していただくと、給付金を請求される方の病態を、円滑に証明することが可能です。

  • (1)都道府県が指定する肝疾患診療連携拠点病院
  • (2)同じく都道府県が指定する肝疾患専門医療機関
  • (3)都道府県知事が推薦し、厚生労働省が指定する形で指定されるがん診療連携拠点病院(肝がん、死亡の場合の診断書のみ)

このほかにも、給付金の請求のためには、さまざまな資料を準備する必要があります。ご不明点については、どうぞお気軽に弁護士までご相談ください。

病態判断 [びょうたいはんだん]

今回の特措法に基づく給付金制度では、集団予防接種等における注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した被害者の方へ給付金が支払われます。そして、この給付金は、B型肝炎の病態(慢性肝炎肝硬変肝がん、死亡、無症候性キャリア)に応じて支給金額が定められています。

そのため、給付金請求の訴訟手続では、病態を証明するためにカルテなどの医療記録が必要となります。なお、『B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書』という診断書は、カルテなどの医療記録とは代替できませんが、判断材料として最大限尊重されます。

まずは、所定の診断書書式にて指定の医療機関(肝疾患診療連携拠点病院または肝疾患専門医療機関、ただし、肝がん、死亡の診断書はがん診療連携拠点で作成されたものでも可)にて作成してもらってください。なお、この診断書は無症候性キャリアの病態判断には必要ありません。

病理組織学検査 [びょうりそしきがくけんさ]

患者から病変部の組織や細胞の一部を採取し(生検)、専門医や検査技師などが顕微鏡で詳しく病理学的に検査することをいいます。病変部の炎症の有無や組織の良悪(がんか否か)など病気の進行程度を検査することができますので、病名の確定診断に欠かせません。それのみならず、手術方針や治療効果などの把握にも使われます。

特に、肝臓の病理組織学検査は肝生検と呼ばれ、慢性肝炎肝硬変肝がんを診断するための重要な検査となっています。体の外から腹部超音波検査腹部エコー検査)や腹腔鏡検査によって肝臓の位置を確認しながら、肝臓の組織の一部を採取します。

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腹腔鏡検査 [ふくくうきょうけんさ]

腹部に小さな孔(あな)を開け、その孔から専用の内視鏡(腹腔鏡)を体内に挿入して、臓器を目視で検査する方法です。画面モニターへ拡大し、写真や録画をすることも可能です。最近ではCT検査MRI検査などの断層撮影技術が進歩したため、腹腔鏡検査単独での必要性は少なくなりました。しかし、腹腔鏡の先端部分に専用機材を取り付けることで、生検や摘出手術が可能ですので、患者への負担が少ない検査・治療として有用なものとなっています。

慢性肝炎肝硬変などB型肝炎による肝疾患の場合には、腹腔鏡検査により、肝臓の表面を肉眼で観察しながら炎症や線維化の進行度を確認していきます。また、前述したように、腹腔鏡検査中に肝臓の組織の一部を採取し病理組織学検査(肝生検)も併せて行うことがあります。

腹水 [ふくすい]

腹腔内に体液が異常に溜まった状態です。多くの疾患で発生しますが、慢性肝炎肝硬変の合併症としてよくみられます。血管の体液保持能力の低下、門脈圧の亢進、体液を調節するホルモンなど体内物質の変調などにより、肝臓や腸の表面から体液が染み出して、腹腔内に溜まるのです。

腹水が大量に溜まると、腹部の不快感のみならず、腹部の膨張により胃が圧迫されることで食欲不振になったり、肺が圧迫されることで息切れを起こしやすくなります。腹水の治療法としては安静はもちろんのこと、利尿薬や減塩食によって過剰な体液を体外へ排泄するよう促します。また、腹水のために食事や呼吸が困難になる場合は、腹腔内に針を刺して腹水を吸引除去することもあります(治療的穿刺)。

腹部エコー検査 [ふくぶえこーけんさ]

腹部の表面から人間の耳には聞こえない超音波を発信して、体内の組織に当たって戻ってくるエコー(反射波)をコンピュータ処理して画像に映し出す検査です。腹部超音波検査とも呼ばれています。臓器に腫瘍や炎症ができている場合、周囲の正常な組織とは組成が異なりますので、エコー画像では正常な組織との境目にコントラストが生じます。医師はこのコントラストを調べることで、異常を見つけ出すのです。

特にB型肝炎の場合、肝硬変肝がんの診断に利用されています。慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行する場合がありますので、肝臓の早期変化を把握するため、この検査が役立つのです。

腹部超音波検査 [ふくぶちょうおんぱけんさ]

人間の耳には聞こえない超音波は、一定の方向へ強く放射され直進する性質を持っています。この性質を利用して超音波を腹部に発信して、臓器に当たって戻ってくる反射波(エコー)をコンピュータで画像化して診断するのが腹部超音波検査です。腹部エコー検査とも呼ばれています。臓器に炎症や腫瘍ができている場合、周囲の正常な組織とは組成が異なりますので、超音波画像では正常な組織との境目に視覚的な違いが生じます。医師はこの違いを調べることで、異常を見つけ出すのです。

特にB型肝炎の場合、肝硬変肝がんの診断に役立ちます。慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行する場合がありますので、肝臓の早期変化を把握するため、この検査が利用されています。

不顕性感染 [ふけんせいかんせん]

ウイルスや細菌などに感染していながら、臨床的に確認し得る症状を示さない感染様式を不顕性感染と呼びます。B型肝炎における不顕性感染は、出生時の母子感染や、乳幼児期の集団予防接種等によりB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した場合が典型的です。免疫機能が未発達な時期には、肝炎を発症せずにHBVに感染した状態が続くからです。そのため、気づかないうちに感染源として他人にウイルスを広げてしまう危険性があります。このような、他人に感染してしまうような病原性のウイルスを体内に保有している状態を医学上、”キャリア”と呼びます。このように、肝炎という症状が現れていないけれども、HBVは体内に持っているという状態を無症候性キャリアと呼びます。

反対に、ウイルスや細菌などに感染した際に、臨床的に確認し得る症状が現れる感染様式を顕性感染と呼びます。B型肝炎における顕性感染は、急性肝炎を発症するような場合が典型的です。

プロトロンビン時間 [ぷろとろんびんじかん]

出血が始まってから肝臓でプロトロンビンが生成されるまでの時間のことです。プロトロンビンは血液を固める作用のあるタンパク質(血液凝固因子)であり、肝臓で合成されます。そのため、肝臓の機能が低下すると、血液が固まるまでに時間がかかるようになりますので、肝機能の検査数値として使われます。肝硬変肝がんなどの肝疾患があると、プロトロンビン時間は長くなります。医療現場では、英語表記(prothrombin time)を略して「PT」とも呼ばれます。

プロパゲルマニウム製剤 [ぷろばげるまにうむせいざい]

B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖や活動性を抑制する抗ウイルス療法ではなく、免疫機能の活性化によりHBVへの抵抗力を強化する免疫賦活療法に用いられてきました。しかし、B型慢性肝炎が急性増悪するなど、肝炎が劇症化する死亡例が報告されたため、現在は黄疸のある患者、肝硬変のある患者、肝硬変の疑われる患者には禁忌となっており、肝機能検査を2週間ごとに行い異常が認められたら、ただちに中止するなど細かな使用上の注意が定められています。そのため、現在では、あまり用いられていないようです。

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ペグ・インターフェロン [ぺぐ・いんたーふぇろん]

B型慢性肝炎では、B型肝炎ウイルス(HBV)を完全に排除することは困難であり、主な治療目標は、ウイルスの増殖と活動性を抑えることで肝炎の沈静化を目指すことにあります。その治療手段は、年齢や経過、病態の進行具合などを総合的に考慮して決定されますが、抗ウイルス療法のひとつとしてインターフェロンが使用されています。しかし、B型慢性肝炎に対するインターフェロンの効果は限定的なものにとどまっており、無効例も少なくはありません。

このような状況の中、B型肝炎の治療薬として新しく認可された(日本では2011年)のが、ペグ・インターフェロンです。これは、インターフェロンにポリエチレングリコールを結合させたものです(ペグとはポリエチレングリコールの略称)。従来のインターフェロンよりも血中濃度が維持されることにより、薬効成分が長く血中にとどまるため、抗ウイルス効果が持続します。そのため、従来のインターフェロンよりも投与の回数が少なく、週1回でよいとされており、患者の負担を緩和するものとなっています。

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母子感染 [ぼしかんせん]

妊娠・分娩・育児を通して母親から子どもに感染する病態の総称です。B型肝炎ウイルス(HBV)には感染した母親が子どもを出産する場合に、産道における血液を介して、ウイルスが出生児に感染してしまうなどの母子感染があります。垂直感染とも呼ばれます。日本では1986年以降、B型肝炎の母子感染防止事業により、B型肝炎ワクチンなどの接種が実施され、母子感染数は大きく減少しました。

母子健康手帳 [ぼしけんこうてちょう]

母子保健法に基づいて、市区町村から妊娠している女性に対して交付される手帳のことです。略して母子手帳とも呼ばれます。この手帳には、出産までの妊婦の健康状況や出産に向けたアドバイス、出産時の記録(出生日や時間、出生した病院の名称など)、そして、出産後の予防接種や乳幼児の成長状況などを記入します。

そのため、今回のB型肝炎の給付金手続では、受給要件のひとつである「満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること」を証明する大切な資料となっています。なお、母子健康手帳が提出できない場合は、市区町村に保存されている予防接種台帳の写しを提出します。もし、両方ともに提出できない場合は、その事情を説明した陳述書や、接種痕が確認できる旨の医師の意見書、住民票または戸籍の附票を提出します。詳しくは、B型肝炎給付金の請求手続に詳しい弁護士までご相談ください。

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